めぞん一刻を語る⑨:恋の三角関係

めぞん一刻

恋愛心理学と漫画『めぞん一刻』との関係について、論じてみよう。今回は、三角関係がその中心論点にしました。『めぞん一刻』は、恋愛における三角関係を勉強するのには、大変面白いし友好的な漫画なのであります。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

そうなのです。『めぞん一刻』とは、三角関係を中心に置いた恋愛関係物語なのであります。ここを押さえておくと、更に、漫画を再読することが、更に楽しくなるのです。自分の実際の人間関係でも、このトライアングルで把握すると、分かりやすくなることがありますし、周りの人達の人間関係を客観的に把握する上でも、大変有効なツールであることも分かります。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

三角関係が成立するためには、一人の女性と恋愛関係にあると思われるような二人の男がいるとして、その二人が知り合い同志であるいうことが必要になります。『めぞん一刻』では、響子さんを挟んで、五代君と三鷹の関係が、結果、三角関係という構造になりました。ちなみに、三鷹と五代君は最初から友人とかではなく、二人が響子さんに興味を持つことによって、後に知り合いになり深い関係となっていく世界なのですが。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

そうなのです。五代君と三鷹は、響子さんとの3人で三角形の頂点をキッチリと形作ることになるのですが、五代君と三鷹の関係が話が進むほどに響子さんに対するのと同じほどの強い絆が出来上がっていくのであります。反発しながら、男同士の愛憎が絡み、にっちもさっちもいかないような苦しい状況になるのであります。そう、三すくみの状態であります。これこそが、三角関係の要諦なのです。三者三様に身動きの取れない、どの方向にも進めない状況になるわけですね。高橋留美子の凄いところは、この恋愛における三角関係の心理を、まずは、「五代君ー響子さんー三鷹」の三者の中に、しっかりと落とし込んだところにあります。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

この漫画の骨子は、この「五代君ー響子さんー三鷹」の三角関係をベースにしたところにあります。

それは不動のところなのですが、そこに、加えて、色々な三角関係が、この3人を包み込みます。

例えば、「五代君ー響子さんー惣一郎さん」。かなりの重要なポイントの三角関係ですね。死んだ惣一郎さんに対する三角関係。これは、物凄く強固な三角関係。惣一郎さんに対する五代君の愛憎が伏線の三角関係として存在しているのです。ここをどう超えていくかというところがこの漫画のテーマでもありますね。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館
出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

例えば、「響子さんー五代君ーこずえちゃん」

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館
出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

例えば、「響子さんー五代君ー朱美さん」。朱美さんも、響子さんを試すのであった。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館
出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

例えば、「響子さんー五代君ー八神いぶき」。八神の存在は、響子さんに実は相当のインパクトを与えたのは間違いないね。自分の女子高生の頃を八神に見立てながら。惣一郎さんと五代君の狭間に揺れるとでも言ったら良いのでしょうか。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館
出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

遂には、「八神いぶきー五代君ーこずえちゃん」にまで発展か。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

・例えば、「響子さんー三鷹ー明日菜」という三角関係パターンシステム。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館
出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

このように、漫画のすべての登場人物達の恋の色々な三角関係を持たせたところに高橋留美子の素晴らしい手腕があります。

三角関係が複雑になっていくのに、その色々な三角関係とベースの「五代君ー響子さんー三鷹」三角関係が微妙にずれながら心温まる関係になっていくところに、この漫画の最大の面白さがあります。

そうなのです。事程左様に、この漫画、ナカナカ、凄いのですよ。恋の三角関係の重畳作用が。ないでしょう。普通、漫画や映画や小説で、ここまで面白い三角関係話の複雑系はそうそうないでしょう。そこがこの漫画の深い凄さなのです。ギャグ系コメディマンガなのに。高橋留美子、畏るべし。

そして、この三角関係で忘れてならないのは、頂点に立つ人に対する二人の人の想いの交錯が最終的には、その二人の友情の絆というようなところまで発展するという辺りまで、高橋留美子が描いていることなんですね。ここまで、描ききっているからこそ、この漫画は誰が読んでも、爽やかさが残るのであります。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

つまりのところ、三角関係は悲惨な結果をもたらすのだという想定ではなく、頂点の人を想いながらも、その二人は最終的に対立するのではなく、友情のようなものが出来てくる。五代君と三鷹の関係もそうであったように。五代君と惣一郎さんの関係も、五代君が惣一郎さんを内包して響子さんを愛していくというスタイルで収束していくあたりに、その辺が如実に現れている。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

『めぞん一刻』における恋愛での三角関係は、マイナスなのではないのである。それは、性善説に立ったプラスの側面を教えてくれているのである。三角関係の三すくみの立ち往生状態から普通は良くない結果に至ってしまうのが常ですが、その立ち往生状態は他の三角関係のクロスカウンターによって頂点の人を失ったとしても、そこを癒してくれる別の人が現れるしその人の良さに気づくというスタイルになっています。コメディ漫画だから、そういうお気楽な流れになっているのだとの指摘は当然あると思いますが、しかし、三角関係の恋愛心理の膠着状態から復帰するのには、こういう流れが結構大事なのではないかと思いますね。そこを面白おかしく描いている高橋留美子は流石だなと思う次第です。

三角関係というテーマと視点を常に自分の中に持つことで、自分の人間関係の整理や周りの人達の人間関係を客観的に把握することが出来そうですね。昔から、良く言われています。『3』という数字で全てを整理していくと、分類がし易いし明快になっていくと。三角関係というものも、その範疇にありそうです。『めぞん一刻』の重畳的三角関係を読み解いていくことで、自分と人との関係整理に役立てそうな感じがしますね。恋愛だけに限らずに。人というものは、どうもこの三角関係を持ちながら生きているようですよ。常に。私見ですが。

出典:『めぞん一刻』(c)高橋留美子/小学館

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フジ子さん

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