昔、こんな記事を書いていたな。それは。
「ラジオのオールナイトニッポンのパーソナリティ佐久間宜行を聞くことで、結構幸せになれますぜ。嘘だと思って、聞いて下さい。元気になれる。家族を大事にしなくてはならないとかも思えてしまう。不思議な世界。」
そう、深夜のラジオ番組の人気パーソナリティの佐久間宜行オジサンのコメントのことだったな。彼は、今はテレビ東京を辞めて、フリーのTVディレクターをしているけれど。
実は、昨晩(5月5日)というか、今日の未明の時間の彼のオールナイトニッポンで、またまた、彼の話がとても良い話で、深夜なのに、気持ちがとても晴れ晴れとしたのであったよ。
それは、こんな話だった。
佐久間宜行がCMかTVの仕事を1本終えて、次の「香取慎吾・稲垣吾郎・草彅剛と各TV有名ディレクターとの対談」収録の場所に、行くために乗ったタクシーでのタクシー運転手との会話のことだったのだね。
それは、とても、数日前の大雨の日だったようだ。大雨なので、次の収録場所までは歩いて20分位のところだけど、佐久間オジサンはタクシーを拾ったのだね。行き場所をそのタクシーの運転手さんに告げた時に、運転手さんは何だかとても疲れたような顔をしていたらしい。そして、その後すぐに、自分の座っている右側の後部座席の下に、佐久間オジサンはバックが落ちていることに気がついたんだ。それで、彼は、タクシー運転手さんに、「あのー、後ろに、バックがあるんですけど。前の乗った人が忘れんたんじゃないでしょうか?」と声をかけたところ、運転手さんは、「あ~あ~、やっぱり・・・」と大きなため息をついたのだ。それから、運転手さんの話が始まるのだ。
その話っていうのが、次のようなこと。佐久間オジサンが乗車する前に載せたお客様は、母親と小さい女の子と赤ん坊の3人だったのだ。乗って直ぐに、赤ん坊は泣き始めたのだ。佐久間オジサンも、うーん、それはあるよな、と思ったのだが、運転手さんは乗ってから降りるまで40分間ずっと泣いていたんですよという。母親は赤ん坊にかかりっきりになった。赤ん坊が泣き始めてから直ぐに、今度は小さい女の子がタクシー運転手に向かって、喋り始めたのだ。ナント、「タクシー、嫌いだ」と。そして、この「タクシー、嫌いだ」の言葉を、彼女達が降りるまでの40分間、この女の子が何度も続けて呟いたのだという。延々と。
最初は、「え?!」程度に思っていたのだけれど、何度も、何度も、「タクシー嫌いだ」と言われると、だんだん、自分もメゲテきてしまって、かなり落ち込んできたんだと大人しそうなタクシー運転手さんは疲れ切った顔でいう。佐久間オジサンに向かって、運転手さんは逆に尋ねる。「普通、子供は、車のことは好きですよね。どうして、あそこまで、タクシー嫌いというのだろう?」どうも、その日は、そのお客さん達のお父さんというか夫が仕事で急遽車で出かけた為に、タクシーを迎車で呼んだのだらしいのだが。
疲れ切ったまま運転しているタクシー運転手さんを見ながら、佐久間オジサンは考えたのだった。そして、彼の脳内で、いろいろなパズルが埋まったのだった。佐久間オジサンの頭の中で整理妄想出来たのは、こういうことになったのだったよ。
家族はいつもお父さんの車に乗って動いている。小さな女の子もいつもお父さんの車に乗っている。赤ん坊が出来るまでは、お母さんも小さな女の子をいつも近くにいてくれた。ところが、赤ん坊が出来てからは、お母さんは赤ん坊に取られてしまった。それでも、お父さんは車に乗って自分とよく話をしてくれる。だから、タクシーは嫌いだと言ったに違いない。それは、運転手さんに向かって言っているのではなく、お母さんに向かって、その小さな女の子は自分をかまってと言っているのに違いないはずだ。
佐久間オジサンも自分の幼少の頃、妹が出来たときに、カーテンに隠れたことを思い出したという。そうなのだ。それは、お姉ちゃんになった小さな女の子の心の叫びだったのだよ。母親に向かっての自分もかまってという。だから、運転手さん、そんなに落ち込む必要はないんですよ、と。
「タクシー嫌いだ」の心情の本当のところはそうに違いないので、佐久間オジサンは、運転手さんにそこを説明しようとしたところ、現場に車は着いてしまったのであった。現場収録の時間ギリギリで直ぐに降りざるを得なくて、さっき自分の中で整理出来た話を運転手さんに説明する時間がないので、佐久間オジサンは降りながら、焦って、ただ一言を放ったのだった。それが、
俺、タクシー、好きですよ。
最後の言葉も良いよね。全てが詰まっている。なんか、とっても、良い話。佐久間オジサンの染み入る温かい心のお話だったのね。この話は、心の傷ついたタクシー運転手さんに対する深い思いやりがあるし、タクシーに乗ったお客さん家族(そこにいないお父さんにも)への優しい目線があるんだな。もし、万に一つ、佐久間オジサンの予想ではないマジにこの子がタクシーが嫌いなだけということがあったとしても、やはり、人間、佐久間オジサンのように、このような温かく優しい視点で家族や人を見つめていくことが大事だなと感じ入った次第です。こういうところに、多分、人間、幸せになっていける原点があるような気がするね。勉強になりましたぜ、佐久間のオヤッサン。
佐久間オジサン、やりおるわい。素敵!!
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