悪について

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中島義道
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悪の出だし

あの個性的過ぎる哲学者の中島義道が自分の著書「エゴイスト入門」の中で、「悪」について、次のようなことを言っていた。かなりの偏屈者で斜に構えたスタンスが結構好きで、彼の著作を読んできたが、改めて、確かに、そう言えるよなと思い返し、ここに少しだけ、紹介しつつ、悪とは何かに1つの見方を考察してみたい。何故なら、この世の中も映画も小説も漫画も悪というものがあるから成立しているのであり、悪は無視できない重要なものだからです。

中島義道の悪とは

中島義道は哲学者のカントを研究している学者であるから、当然ながら、悪の概念については、カントの考えをベースに考察している。ここで注目すべきは、カントの根本悪という概念が、悪そのものの構造に向かうのではなく、善きことを考えてする人間の心理面における悪の形態に向かうところなのである。

人が外形的に善いことをしながら、その心情が悪にまみれている行為に見られることに、カントも中島義道も関心を持つのである。

例えば、約束を守るのは、自分の信用を落としたくないから。殺したいほど憎い人でも殺さないのは、発覚して社会から葬り去られるのが怖いから。

これらの人間の動機をまとめてカントは「自己愛」と呼んでいる。中島は、自己愛がわずかでも混じっている発言や行為には、外見的に善い行いでもそれは道徳的ではないと言う。

カントは自己愛を徹底的に嫌う。カントは極めて厳格主義者なのだ。嘘を徹底的に排除するのだ。

そうなのか?悪の根底に流れるのは自己愛なのか?そこに悪発生の人間心理現象があるのか?どろどろの自己愛が悪を呼び起こすのだ。そういう観点から、悪をみたことがなかったので、これはこれで、自分にとっては、目から鱗であります。

悪の映画

ほとんどの映画には、悪が登場してくる。それは、アクション映画系のテロとか暴力団とか暗殺者とかの大きな悪から人を言葉で騙す小さな悪まで、色々な形で、映画のストーリーを盛り上げてくれている。映画でも小説でも漫画でも、そのものを面白くさせてくれるのは、善の対極にある悪なのである。そうなのである。エンタメにおいて、悪がないことにはストーリーが始まらないのである。必要悪なのだ。ちなみに、映画のタイトルに「悪」がついている映画で気になるのは次のものだ。今回は、悪がついている邦画に限定をした。

悪の教典

三池崇史監督が貴志祐介の同名小説を伊藤英明主演で映画化。生徒から絶大な人気を誇る高校教師・蓮実聖司。学校やPTAの評価も高く、教師の鑑とも呼べる彼の正体は生まれながらのサイコパスだった。

この映画なんかは、高校生を殺し続けるサイコパス教師の話だから悪の教典という単純な図式ではなく、上述のカントと中島義道の悪の定義からすれば、伊藤英明演ずる教師ハスミンの心の中が自分しか愛せないというサイコパス特有の悪の論理になっているところが悪の教典たる所以なんでしょうね。なるほど。この教師、事件を起こすまで、その悪の心の内を読める人達は皆無だった。

映画『悪の教典』公式サイト
まるで出席を取るみたいに、先生はみんなを殺し続けたんだ。ミステリー界を震撼させた禁断の小説、衝撃の実写映画化!! 映画『悪の教典』公式サイト 11月10日公開

凶悪

この「凶悪」もインパクトが強かった。やはり、リリーフランキーとピエール瀧の二人の存在が悪そのものだった。このうちの先生と呼ばれる悪の権化リリーフランキーは、やはり、外見面からすると、とても、悪人には見えない。しかし、その心の中には、信じられないほどのドロドロした悪の全てがある。人間、外見で普通に見える人間が如何に恐ろしいかを教えてくれる映画だ。

史上最悪の凶悪事件。その真相とは?
ある日、雑誌『明朝24』の編集部に一通の手紙が届いた。それは獄中の死刑囚(ピエール瀧)から届いた、まだ白日のもとにさら
されていない殺人事件についての告発だった。彼は判決を受けた事件とはまた別に3件の殺人事件に関与しており、その事件の
首謀者は“先生”と呼ばれる人物(リリー・フランキー)であること、“先生”はまだ捕まっていないことを訴える死刑囚。
闇に隠れている凶悪事件の告発に慄いた『明朝24』の記者・藤井(山田孝之)は、彼の証言の裏付けを取るうちに事件に
のめり込んでいく……。

Amazon Prime Video 内容紹介
凶悪 : 作品情報 - 映画.com
凶悪の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。死刑囚の告発をもとに、雑誌ジャーナリストが未解決の殺人事件を暴いていく過程をつづったベストセラーノンフィクション「...

悪人

この吉田修一原作小説の「悪人」の映画は、普通の人間が悪になってしまったことについて、その周囲の人間との関係を含め、誰が悪なのかを問いかける作品になっており、カントと中島義道の指摘する悪の定義に一番近い悪の在り方を示してくれている感じがする。人間の心の中にある悪の色々な形について、心の中を示唆してくれたようで、一番、我々の日常における心理の中にある悪について考えさせてくれたのだ。

土木作業員の清水祐一は、恋人も友人もなく、祖父母の面倒をみながら暮らしていた。
馬込光代は、妹と2人で暮らすアパートと職場の往復だけの退屈な毎日を送っていた。
孤独な魂を抱えた2人は偶然出会い、刹那的な愛にその身を焦がす。
しかし、祐一は連日ニュースを賑わせていた殺人事件の犯人だった――。
光代はそんな祐一の自首を引き止め、祐一と共に絶望的な逃避行へと向かう。
やがてその逃避行の波紋は被害者の家族、加害者の家族の人生をも飲み込んでいく。
なぜ祐一は人を殺したのか?なぜ光代は殺人者を愛したのか?
引き裂かれた家族の運命はどうなるのか?そして、いったい誰が本当の“悪人”なのか?

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ビッコレ

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